Edit your comment 【濡れる①】 健康のため、目標のため、鍛えることで汗をかき体が濡れる姿は美しいと思います。熱が伝わるような気配とか人間の臭いとか、生きている息遣いの、命の素晴らしさがここにあります。きょうは特にそう思います。なぜなら・・・ 12月8日に思うこと。「繰り返してはならない」 今日は太平洋戦争勃発から80年を迎えた日です。先日、NHK映像の世紀プレミアム第21集で「太平洋戦争 銃後 もうひとつの戦場」が放送されました。そのナレーションを文字お越ししたいと思います。 【濡れる②】 1943年11月、明治神宮外苑で写真の青年と同世代の学生77校25,000人の学徒動員出陣壮行会が行われた。雨に濡れた学生たちの隊列を日本映画(日映)ニュースカメラマンが撮影していました。 東條英機首相「わたくしは衷心より諸君のこの門出をお祝い申し上げる次第であります」 日映ニュース部長土屋斉の言葉 学生の中には将来のゲーテもアインシュタインもおるわけでしょう。そうした若者を根こそぎ戦場に送る。学徒出陣を一言でいうならまさしく「悲愴」です。一人の学生の後姿を帽子から足元まで長くパンダウンするシーンがありましたが、そのシーンに東條首相の演説をかぶせたりしたのは悲愴感を盛り立てるために意図的に編集したものなんです。 【濡れる③】 熊谷陸軍飛行学校所属特攻隊となった慶応大学生上原良司の日記 「悠久の大義に生きるとか、そんなことはどうでも良い。あくまで日本を愛する祖国のために独立事由のために闘うのだ。全体主義で戦争に勝つことはできない。私は軍隊でどんな教育をされても、この考えを変えることはできない。」 出撃前の帰郷で家族に言った言葉を妹が書き留めていた。 「日本は敗れる。俺が戦争で死ぬのは愛する人たちのため。戦死しても天国に行くから靖国神社にはいないよ。」 出撃前の書簡 「思えば長き学生時代を通じて得た信念とも申すべき理論万能の道理から考えた場合、これは或いは自由主義者と謂われるかも知れませんが、自由の勝利は明白な事実だと思ひます。権力主義、全体主義の国家は一時的に隆盛であらうとも、必ずや最後には敗れることは明白な事実です。明日は自由主義者が一人この世から去っていきます。彼の後姿は淋しいですが真鍮満足で一杯です。云ひたい事を云ひたいだけ云ひました無礼を御許しください。では、この辺で。」 知覧から飛び立った上原良司の飛行機は戻らなかった。 一年後、葬儀と仏壇の遺影が映された。 【濡れる④】 物資の輸送を行う民間船舶を爆撃するアメリカ軍の映像に、破壊の瞬間と海に投げ出された乗組員が救助される場面がありました。全裸の一人は筋骨逞しい体をしているものの恐怖に怯えた表情。痩せたもう一人は海に沈んだ同胞に手を合わせていました。 半藤一利のことば 満目蕭条(しょうじょう)たる焼け跡の広がりを眺め、そして、あらためて思ったことは、この戦争で空しく死ななければならなかった人たちのことでありました。多くの生き残った人たちがそうであったと思います。 絶対に正義は勝つ。絶対に日本は正しい。絶対に日本は負けない。日本軍は無敵であり、天にまします神はかならず大日本帝国を救い給うのである。 このゆるぎないフィクションの上にいくつものフィクションを重ねてみたところで、それを虚構とは考えられなかったのではなかったか。そんな日本をもう一度つくってはいけない。 2021年12月7日 昭和史研究家・ノンフィクション作家保坂正康のことば 「歴史」は理性的な分析が求められます。ただ戦争を経験した「同時代」の見方は善悪や好悪などの感情に支配されがちです。戦争の本質を完全に歴史として分析することは難しい。だからこそ、次の世代が同じ事実から「なぜ日本はそんな戦争をしたのか」と改めて考えてみることが重要です。同時代の人が出してきた「指揮者に戦略がなかった」などという答えは、若い世代が戦争を歴史として見たときには違うものになるかもしれません。 【濡れる⑤】 史実を歪曲し、事実無根を吹聴し、侵略を認めず、戦犯合祀を称える歴史修正主義者は汗で額を濡らしながら自衛隊を国軍とし、戦争回帰へと憲法を弄びます。 私はこういう彼らを完全否定します。 SECRET SendDelete